自分で起き上がれなくなったとき、必要になるのは体位変換と、清潔と、乾燥です。専門的なことのように聞こえますが、やることは決まっています。この記事では、寝たきりになった子のケアと、介護する側の体を守る話をまとめます。
状態によって必要なケアは変わります。方法は、必ずかかりつけの獣医師に確認してください。
床ずれは、驚くほど早くできます
同じ姿勢で寝ていると、体重がかかる場所の皮膚が傷んできます。とくに骨が出ている部分——肩、腰、ひじ、かかとのあたり。大型犬では、数日でできてしまうこともあります。
- 2〜4時間おきに、体の向きを変える(夜間も含めて、できる範囲で)
- やわらかいマットや、クッションを使う
- 硬い床に、薄い敷物1枚だけ——は避ける
- 骨の出ている部分の下に、隙間を作る
- 赤くなっている場所を見つけたら、その時点で受診
濡れている時間を、とにかく減らす
床ずれと皮膚トラブルの最大の原因は、濡れたままでいることです。おしっこ、よだれ、汗ばんだ場所。拭いたら、必ず乾かす。ここまでがワンセットです。乾燥まで含めて、ケアだと思ってください。
排泄のケア
- ペットシーツを重ねて敷き、汚れた層だけ外せるようにする
- おむつは便利ですが、蒸れます。外す時間を作る
- 拭いたあとは、水気を残さない
- 毛が長い子は、おしりまわりを短くしておくとラク
- おしっこが出ていない、便が何日も出ないときは相談を
食事と水
寝たまま食べさせるのは危険です。頭を少し起こして、体を支えた姿勢で。飲み込む力が落ちていると、気管に入ってしまうことがあります。
シリンジやスポイトを使うときは、必ず獣医師にやり方を教わってから。加減を間違えると、肺炎の原因になります。
介護する人の体も守る
ここは、真剣に読んでください。介護は、たいてい人間の腰から壊れます。
- 膝を曲げて、腰から持ち上げない(人間の介護と同じです)
- 大型犬は、二人で。無理をしない
- 介護用のハーネスやスリングを使う
- ベッドの高さを、腰をかがめずに済む位置に
- 寝る場所を、生活の中心に移す(移動距離を減らす)
ぎっくり腰になった瞬間、その子のケアも止まります。自分を守ることが、その子を守ることです。
記録を、家族で共有する
何時に向きを変えたか、いつ食べたか、薬を飲ませたか。紙に書いて貼っておくだけで、家族で分担できるようになります。
- 時刻と、やったことだけ書く
- 冷蔵庫やケージのそばに貼る
- 「もうやった?」の確認が要らなくなる
- 受診のときに、そのまま情報になる
ひとりで抱えない
寝られない日が続くと、判断力も優しさも削られていきます。それは人として当たり前のことです。家族で当番を決める、預かりサービスを使う、老犬ホームを検討する。どれも、逃げではありません。
よくある疑問
夜中も体位変換すべき?
理想はそうですが、できる範囲で。エアマットや低反発の寝床で負担を減らす方法もあります。獣医師に相談してみてください。
床ずれができてしまいました
自己流で処置せず、受診を。深くなると治りにくく、痛みも伴います。早いほど、選べる手があります。
いつまで続くのでしょうか
先が見えないことが、いちばんつらいと思います。その気持ちも、獣医師に話していいことです。ひとりで背負わないでください。
おわりに
寝たきりのケアは、向きを変える・拭いて乾かす・自分の腰を守る。完璧にできなくて当たり前です。そばにいる時間を続けるために、頼れるものは全部頼ってください。







